「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」の舞台

日常と人間模様が描かれた作品

この本のタイトルとなる吉祥寺は、日本で一番住みたい街一位に選ばれるなど非常に有名になりましたが、それというのもこの吉祥寺が高級住宅街にありながら時代を匂わせる街で、新宿や渋谷にも非常に近く利便性の高い街だからなのかもしれません。本作品は、主人公となる双子の姉妹が勤務する不動産屋が中心舞台で、様々な悩みを抱えながらも新たな住まいを探し出すために奔走するという、ユニークな人間模様を描いた作品となっています。

人は男女にかかわらず、誰しも様々な悩みを抱えているものですが、心に傷を負っていても住まいを変えることによって、心身ともにリフレッシュすることも可能です。吉祥寺は、東京でも確かに良い街ですが、日本一住みたい街に選ばれたといっても、実際に住んでみなければわからないものです。本作品は、こうした不動産を通した人間の葛藤を描く、ヒューマニズムを感じさせるものです。

ユニークな主人公像

本作品の主人公である双子の姉妹は、双子でありながら、双方にアンバランスな感覚を持ち合わせており、容姿はその趣味も全くのは逆の存在が、何とも言えない雰囲気を醸し出しています。都子はメガネの茶髪で、半分刈り上げヘビメタ好きでオカルトに興味を持ち、富子は髪を金髪に染め、化粧が濃く目立つピアスでハードロック好き。双方主人公らしからぬぽっちゃり体系で、でっぷりしたお腹をつかむしぐさも、非常にユニークなものです。

この二人、他の漫画に見られるような熱い性格ではなく、特にこれといった特技を持ち合わせていないように見えますが、さりげない言葉や態度から、何とも言えない人の温かみを感じさせてくれます。本作品の重田不動産は、亡き父の残した老舗不動産屋で、地元で育った双子の姉妹が、いかに客に見合った住居と街を紹介していくのかが見ものとなります。

雑司が谷の魅力

吉祥寺だけが住みたい街ですか?がタイトルの本作品ですが、決して吉祥寺のことを悪く描いているわけではなく、吉祥寺という素晴らしい街を描きながらも、ほかの選択肢をいくつも掲げてくるというところにポイントがあります。その一つがここ雑司が谷ですが、本作品の第 1話の舞台にもなっており、スポットとなる雑司が谷駅・都電荒川線・鬼子母神・古書 往来座・赤丸ベーカリーですが、それぞれの舞台が実際に雑司が谷の街に存在するということです。

雑司が谷の魅力の魅力は、なんといっても都心に近く渋谷駅の隣にありながら、その街並みが非常に落ち着いた雰囲気で、昭和の時代を思い起こさせるものです。実際にその街並みは、個人商店や神社仏閣、雑司ヶ谷霊園などもあり、とても都心に近い街並みではなく、どちらかといえば庶民的な雰囲気が、ここ雑司が谷の持ち味なのです。